ビジョナリーな人たち サトウ椿株式会社 代表取締役 佐藤秀幸

2013-08-10

後援:観光庁
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追究すればするほど深い
可能性を秘めた椿油について語りたい

政府の要人から文化人まで多くの人たちが愛した熱海。
都心から最も近い静養地としてこの地が賑わった時代があった。
素晴らしい自然も食も文化もあるこの街を、
なんとか生まれ変わらせたいと
切磋琢磨する人々がいる。その中の1人。
「うまさヘビー級、軽さフライ級」として
椿油で揚げた天ぷらの美味しさを教えてくれるのは
サトウ椿株式会社 佐藤秀幸代表取締役である。

佐藤秀幸

佐藤秀幸(さとう ひでゆき)

昭和33年、熱海市生まれ。日本大学商学部を卒業し、家業を継ぐ。
伊豆諸島・三宅島産椿油製造販売元 サトウ椿代表取締役。
椿油の食用油脂製造業の許可を取得したのは平成11年。
http://www.sato-tsubaki.co.jp/

熱海銀座に店を構えて
94年の誇り

「椿の学名はカメリア・ジャポニカ。世界的に有名なファッションブランドのデザインにも取り入れられていると聞いています。花は観賞用、タネから採れるのは椿油、椿油の搾りかすは、ナメクジよけとして農業やガーデニングに使われます。そして葉っぱは茶葉になります。椿という植物は捨てるところがないんです」と話す佐藤秀幸さん。

朴訥とした語り口は、商売人というよりも研究者のようだ。実際に椿に関する知識は非常に広範囲で、サトウ椿のホームページを見ても、専門的な見地から椿油の定義・表示から用途・効能まで詳しく綴られている。

そんな佐藤さんが、真っ先に手をあげたのが、熱海市と商工会議所が連携して立ち上げた、事業者の新しい事業への取り組みを支援し、街を活性化するための『熱海市チャレンジ応援センター A ‒biz』なのだ。

「なぜ手をあげたかと言いますと、端的に言えば、椿油が思うように売れていなかったからです。ウチは大正8年創業。私は三代目なのですがね」

明治から戦前にかけて御用邸があった場所、熱海銀座として栄えた商店街に店を構え、御用邸のお付きの方も椿油を買い求めにやってきたという「つばき屋 佐藤油店」三代目の誇りと責任感がそこにある。

そこでA ‒bizの担当者としてやってきたのが、観光経済課産業振興室の小山みどりさんだった。

「もともと私は戸籍の担当だったんですよ」と笑う小山さん。

「今年は市庁舎を新しく建設し、街にもジャカランタという、美しい花をつける樹木を植樹するなどの計画が進んでいます。しかし街だけが変わっても、ここで事業をする人たちが変わらなければ、訪れる人をもてなすことができません。そこでA ‒bizを立ち上げたのですが、行政が
一事業者の売上を応援するのはいかがなものかという声もありました。しかし『頑張る』という気持ちのあるところを街をあげて応援すべきではないかということになったのです」

椿油は何かを持っている

そもそも椿油は雑貨として販売されていた。そのため一般的には髪をつややかにするなど化粧品として馴染みがある。しかし実は食用としても非常に適した油なのだという。

「食用としての良さがわかりやすいのが加熱料理、特に天ぷらなんです。ただ、椿油は少ししか採れないので、天ぷら油にするには高価なんですね。そこで椿油100%ではなく、菜種油8割、椿油2割のブレンド油で揚げた天ぷらの試食会をやってみたんです。参加したのは欠食児童みたいな腹ペコ連中。こんなので違いがわかるのだろうかと不安にもなりましたが(笑)、椿油で揚げた天ぷらは、他の油で揚げたものと比べて見た目も味も実に素晴らしかったんですよ」

椿油100%の天ぷらは食感が非常に軽い。色も白くて美しい。年配の方であれば、100%椿油の天ぷらを好むかも知れない。しかし「食べた感」を求めるのであればブレンド油ではないかと佐藤さんは言う。菜種油が8割であっても、その美味しさは十分に堪能できるのだ。

その様子はテレビの報道番組でも取り上げられ、電話が繋がらないほど話題になった。近年、ヘアケア製品は言うまでもなく、肌の保湿にいいという理由で衣料品やボディタオルにも配合されている椿油。食用は一般に馴染みがなかっただけで、従来より高級天ぷら店では使用されていたという。それは是非自宅でも食べてみたいと誰しもが思うものだ。

「もちろん今でも問合せはたくさんいただいていますが、テレビの影響がずっと続くとは考えていません。試行錯誤は続けていかなければならないという気持ちはあります。ただ、椿油は非常に可能性を秘めていると思うんです。なぜかと聞かれると、理由はないと言いますか(笑)、子どもの頃からいいものだと聞かされて育ったからでしょうか」

佐藤さんの話で大笑いしたことがある。それは昭和25年の熱海大火にまつわるできごとだ。焼失家屋979棟、被災1461世帯と言われた大火ののち、街の人々の努力で再生した熱海。復興の様子を伝える写真展が開催されたときには佐藤油店の店舗の写真も紹介されていた。

「そのキャプションに、佐藤油店を境にして火が大きくなったとあったんです。二代目である親父は怒りましてね。その説明文を削除させるほどだったのですが、なぜか私には誇りだったんですよ。椿油っていうのはすごいなと(笑)」

熱海大火で店舗が焼失したことも、今日の熱海市経済の状況も、大変な苦難であるに違いない。しかしこのユーモアがあれば、明るく力強く乗り切って行けそうな期待感を抱かせてくれる。

「物事というのは追究すればするほど奥が深いことに気づくものだと思うんです。椿もそうですね。まだまだ私は探り当てることができたとは言えませんが。

今考えていることは、椿油で揚げたドーナツを作ること。きっと美味しいと思うんですよ。どこまでやれるかわからないけれど、やれるところまでやってみたいんです」
54歳の挑戦は、今始まったばかりである。

観光経済課産業振興室小山みどり観光経済課産業振興室
小山みどりさんと

つばき油本つばき油 180g 2625 円
サトウの椿油(お徳用ペットボトル入り)
457g 1365 円 914g 2625 円

◎木村の視点

木村の視点カメリアといえばてっきりダイヤモンドのことだと思っていたが、それがココ・シャネルの愛した椿のことだと知ったのは佐藤さんにお話を伺った時のことだ。
濾過器を前に、まるで理科の先生のように椿についてレクチャーをしてもらい、椿油の素晴らしさを改めて知ることが出来た。まるで椿の花言葉のように「控えめの美徳」そのもののこの人が、まだ海のものとも山のものとも分からない「A-biz」プロジェクトに先を切って手を挙げたというのにも驚いた。それだけ危機感を抱いていたと同時に、ベンチャースピリットに富んでもいたということなのだろう。さっそく椿油を買い求め、家で揚げた天ぷらはやはり美味。

このぶんなら、佐藤さんが椿のもう一つの花言葉「申し分のない魅力」に溢れた人になるのも、そう遠い日ではない気がする。

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